NPO法人 ウィメンズ・サポート・オフィス 連


いきいきと自分らしく生きたい女性をサポートします

−女たちが集い、語り合い、分かち合う、そこから何かが生まれる−



夫婦や親子の関係、自分の生き方、職場や地域の人間関係などで、一人で思い悩んでいませんか? 私たちは話し合いを通して、自分自身の問題や課題に気づき、より良い方向をさぐっていくためのサポートをいたします。悩んでいることがあったら一緒に考えてみませんか。


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体験記

「私にとっての女性学」
ちえちゃん
 
40歳が転機
私の女性学との出会いは、人生折り返しの40歳を過ぎたときで、離婚をしたことがきっかけでした。フルタイムで仕事をしながら、家事も育児もこなし、これらのことを私がすることで、家庭生活が円満にいきそれが幸せと思い、また妻の役目とも思って毎日を過ごしていました。現実はいつも時間に追われ、髪をふりみだし、子どもを怒鳴りつけ、それでも夫には何も言えず、いらいら、ぎすぎすしていて、毎日の生活は不平不満だらけでした。しかしそう思うのは自分の至らなさ、わがまま、力の足りなさと、さらに自分に鞭を打ちがんばってこなしました。力のない自分とは認めたくなかったし、そういう自分は許せなかったのでした。そんな生活は土台無理な話で、自分のすべてを犠牲にした結果の家庭生活の破綻は、私にはどうしても納得できないものでした。自尊心のひとかけらもなくなり、これから先、どのように生きていいのか途方にくれていました。そんな状況の私に友人が女性大学(足立区主催・23回連続の女性学講座)の受講を勧めてくれました。

女性学との出会い
講座で話されたことは結婚や出産で仕事を手放してしまった女性が、その結果、経済的自立ができなくなってしまった姿や、戦後の高度成長を影で支える専業主婦の成り立ち、それらの背景にある社会構造等々でした。働いて経済的に自立している私にはあてはまらないと思いました。けれど、私の知りたかった、あんなに一生懸命がんばったにも関らず、家庭生活が破綻したその訳はどうしてもわかりませんでした。女性学を学んだことで新たなさまよいをはじめることになりました。

右往左往の私
学びはじめた私に「自己表現トレーニング講座」は衝撃でした。その場の状況を察知し、相手の気持ちを優先させて、それで良い関係が成り立つと信じ、それが大人の賢い女性であると思い行動してきた私は「NOと言えないのね、できないことはできないと素直に言っていいのよ」というトレーナーの言葉に愕然としました。女性学でいう自立した新しい女性を生きていたと思っていたのに、それはただ仕事をやめずに、子どもを産み育てただけで、考え方は社会の価値観をそのまま受け入れ、根本のところは何もわかっていなかったことに気づかされました。しかし、現実を知った私にとってここから女性問題学習を理解するまでの道のりは、果てしなく遠いものでした。私の内面には社会の常識やら規範がびっしりとはびこっていて、そこから脱することは困難を極めました。頭でわかったと思っても、現実には自らの偏見や理解不足に気づいては戸惑い、どうしたらそれらから解き放たれるのか、私はこの学びの場から離れることができなくなりました。でも、からだの芯まで身についてしまって当然と疑うこともしていなかった価値観(女性はやさしく、おしとやかに、家事・育児、男性は強く、たくましく、仕事)は重く私の前に立ちはだかっていて、それを変えることはとても難しいことでした。

仲間の存在
学べば学ぶほど、今まで生きてきた糸はごちゃごちゃと絡んでしまい、逃げ出したくなることもたびたびでした。しかし絡まった糸がこのままでは私にはどうにも納まらず、そこからは逃げることはできませんでした。そしてここに私の知りたかった訳があると直感したのでした。その糸を一つひとつ丁寧に解いていく作業は一人ではできなかったと、今さらながら強く思います。わからなくなっては聞き、迷い・悩んでいる私にたくさんの女性が丁寧に答え、一緒に悩み、励まして力をくれました。私は何を?どうしたいの?何ができるの?と仲間と丁寧に話をしたり検証しながら、一本ずつ糸をたくし寄せてほどいていきました。そんな中で、子どものころに男の子と同じことをしただけで、「女の癖に」「かわいげなない」「女の子はやさしく」「嫁の貰い手がいない」「お転婆」・・・なぜそういわれるかわからなかった、これらの言葉が、私の女性問題の原点であったことを知りました。

そして 今
私の内面に張り巡らされた社会の構造を問い直す作業は、いつの間にか私の離婚の傷をやわらげてくれただけではなく、そこではじめて見えてきた自分のこと、男・女のこと、家族のこと、社会のこと。それは女性学と出会ってから何年もたっていました。私の選んだ道を納得し、解明する作業でもあったのでした。居心地のいい場所にたどり着いた思いでいます。



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